私の知り合いの話です。
これは実話です。
彼は妻子持ち、彼女はバツイチで娘がいますが、娘は結婚し新しい生活をしています。
ふたりの不倫関係は同棲するまでになりました。
彼は妻と離婚をしようとしていましたが、50歳を過ぎた妻は離婚をしてくれなかったのです。
また彼には娘がいたのですが、大人になった娘は激怒し、父を責めました。
ですが、彼は妻と娘の元に戻ることはありませんでした。
激怒した娘は母を連れて弁護士に相談し、彼女に慰謝料請求しました。
彼女は彼と一緒に居たいため慰謝料を妻に200〜300万払いました。
それでも、妻は離婚はしてくれなかったようです。
その時、すでに彼と彼女は60歳を過ぎ、彼は定年退職しました。
退職金もありましたが、全て奥さんへ渡したようです。
彼女には一銭も渡さなかったようなのです。
きっと、彼は奥さんと娘に対して申し訳ない気持ちだったのでしょう。
そして、彼女は自営のお店で一生懸命働き2人の生活を守ったのです。
80歳になったふたりはずっと一緒に暮らしていましたが、彼は病気になり、亡くなってしまったのです。
彼女は彼の葬儀をひとりで済ませました。
しかし、火葬をするにあたって、とても大変だったようです。
彼は、婚姻関係のまま住所変更もしていませんでした。
婚姻関係の住所と2人の住所は市外でした。
彼女は彼の火葬を地元ですることにしたのですが、市民税の関係なのでしょうか、住所は市外だった彼は住んでいない市に税金を納めていたため、市外での火葬は通常の10倍の金額だったそうです。
彼女は10倍の金額を払って彼を火葬しました。
もちろんお骨は彼女が預かりました。
そして彼の生命保険の死亡保険金も全て奥さんの元へ入ったのです。
彼の心は奥さんではなく、彼女の元にあったのかもしれませんが、その代償は全て奥さんの元へいきました。
そして、亡くなった彼の葬儀はもちろん、お線香さえも、奥さんと娘はあげにこなかったようです。
彼が亡くなり、彼女はひとりになりました。
80歳を過ぎた今、自営の仕事も閉めひっそりひとりでいるようです。
本当は自分の娘夫婦と暮らしたいのかもしれませんが、娘夫婦は2人の生活もあるため、母を受け入れる事もしてくれないようです。
私は、なんだか悲しくなりました。
ひとりで育てた娘にまで背を向けられ、最後はひとりです。
彼女は幸せだったのでしょうか?
彼と何十年も一緒に居れたのですから幸せだったのかもしれませんね。
ただ、生活は一緒にしていたかもしれませんが、彼は彼女に生活の援助はしていなかったようです。
彼女は一生懸命働いていても、彼は奥さんと娘にお金を送っていたようです。
結局、彼女は彼と一緒に居たいために、一生懸命働き、彼を養っていたようなのです。
とても悲しく、とても無惨でなりません。
彼を愛するあまり、彼の中途半端な行動を許してしまった結果なのかもしれません。
不倫は、都合が良いもののように感じてしまいますね。
彼女は一生懸命に彼のことを思い尽くしても、ケジメのない彼からすると、彼女は都合のいい女でしかなかったように感じます。
私は同じ女性として悔しく感じてしまいました。
もし、彼女がもっと強くいれたなら、彼を捨て、違う人生を歩んでいけたと思うのです。
時間が2人をなあなあにしてしまったのかもしれません。
長く居ると必ず情が生まれます。
捨てるに捨てられない、離れるに離れられない、1人より2人がいい、そんな関係をダラダラとずっと続けてしまった結果なのでしょう。
彼に一生懸命尽くしても、彼が働いたお金は妻にいき、彼女の元には一銭も入らないのです。
いったい、何のために、彼女は一生懸命働いていたのでしょう。
なぜ、その関係をずっと続けていたのでしょう。
私は彼に対して怒りを感じてしまいました。
また逆に、彼女もなぜ彼を家に帰れと追い出さなかったのか。
それは2人にしか分からない愛のかたちがあったのかもしれませんね。
ただ最後に言えるのは、お骨は彼女が持っています。
きっと彼女は自分が死んだら、彼と同じ墓に入ることでしょう。
死んでもずっと一緒に居られるだけでも彼女は幸せなのかもしれません。